「もっと電気代を安くしたい」や「電気自動車を最大限活用する方法はないだろうか」などとお考えの方に向けて、電気自動車(EV)を活用したV2Hと太陽光発電の併用についてご紹介します。また、V2Hとはなにか、太陽光発電とV2Hを組み合わせるメリットについても解説します。
V2H(Vehicle to Home)とは? |
V2Hとは「Vehicle to Home」(車から家へ)という英語に由来する言葉です。電気自動車(EV)にためた電気を家に送り、活用することを意味しています。
V2Hを利用すれば、家庭の電源から電気自動車に充電するだけでなく、電気自動車の電力を家に送ることも可能になります。つまり、電気自動車の大容量バッテリーを蓄電池代わりとしても利用できるということです。
■V2Hを構成する機器
V2Hシステムを利用するためには、「V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)」と「V2H対応の電気自動車(EV)」の2つの機器の導入が必要です。ここでは、V2Hを構成する2つの機器の役割についてご説明いたします。
●V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)
V2H充放電器は、電気自動車と自宅を結ぶ中継地点としての役割を果たします。それ自体に蓄電できる機能はありません。
電気自動車から電気を送るだけでは、家庭では使用することができません。なぜなら、電気の流れ方が異なるからです。電気自動車にためられた電気は直流電流であるのに対し、家庭用の電源は交流電流です。電気自動車から家庭に電気を送るためには、直流電流から交流電流に変換する必要があります。
V2H充放電器を経由することにより、電気自動車の直流電流は交流電流に変換され、家庭に電力を送ることが可能となります。これは太陽光発電で作られた直流電流を交流電流に変換するパワーコンディショナーと同様の機能です。
太陽光発電による電力であっても、V2H機器を介することで電気自動車に充電できます。
●V2H対応の電気自動車(EV)
V2Hに欠かせないもうひとつの機器はV2H対応の電気自動車(EV)です。リーフ(日産)やHonda e(ホンダ)、MIRAI(トヨタ)の電気自動車の他に、プリウスPHVやアウトランダーPHEV(三菱)などのPHVにもV2H対応のものがあります。
電気自動車(EV)の種類やメリットについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
太陽光発電×V2Hでできること |
このようにV2Hによって、電気自動車(EV)とお家の電気を双方向に利用することができますが、太陽光発電と組み合わせればさらに効果的です。ここでは太陽光発電とV2Hの組み合わせでできることをご説明いたします。
■余剰電力を電気自動車(EV)にためられる
太陽光発電による電力が余った場合、電気自動車に蓄電することができるため、余剰電力も無駄になりません。昼間の太陽光発電により作られた電気を電気自動車に蓄え、発電できない夜間は割安な電気を使って充電するなど、時間帯によって充放電の方法を設定することができるV2H機器もあります。
ご自身の生活スタイルにV2H機器の設定を合わせることで、より効率的な充電が可能です。
■電気自動車(EV)にためた電気をお家で使える
余剰電力を電気自動車(EV)に無駄なくためた後は、お家で使うことができます。とくに日中に電気自動車をお家に置いておけるのであれば、昼間にしっかりと充電しておき、太陽光発電ができない夜間は蓄電池としてためた電気を利用することも可能です。
●一般的な家庭用蓄電池と電気自動車(EV)の電池容量を比較
〇一般的な家庭用蓄電池の容量:4~12kWh
〇電気自動車のバッテリー容量:10~40kWh
以上のように、一般的な家庭用蓄電池と比較しても電気自動車のバッテリー容量は大きいため、より多くの家電をお家で同時に利用することができます。
太陽光発電×V2Hのメリット |
太陽光発電とV2Hを組み合わせることで、家庭での電力活用の幅が広がります。ここでは、そのメリットについてご説明いたします。
■電気代を削減できる
太陽光発電だけでなく「系統連系」のV2Hシステムも併せて導入することで、更なる電気代の削減が期待できます。電気自動車を蓄電池として利用すれば、昼間に発電した電気を無駄にせず、他の時間帯に活用することが可能となるからです。
「非系統連系」のV2Hシステムであれば売電することもできますが、余剰電力は国に売るよりも自家消費したほうが得だと言えます。再生可能エネルギーを国が定めた価格で一定期間買い取る「FIT」価格のほうが、電気料金単価よりも安いからです。
●2022年度の売電価格と電気代の比較
〇2022年度の住宅用太陽光発電における売電価格:17円/kWh
〇2022年5月現在の一般的な電気料金単価の例:約32円/kWh
(出典:経済産業省/東京電力エナジーパートナー)
2022年5月現在、電気料金は上がり続けており、反対に売電価格は年々下がる傾向にあります。このような理由から、余剰電力を売電に回すよりも、V2H対応の電気自動車にためて使う方法を検討することがおすすめです。
■電気自動車(EV)を停電時の非常用電源として活用できる
V2Hにより電気自動車を蓄電池として利用できるということは、停電時の非常用電源として活用できるということでもあります。日産の公式ホームページによると、日産リーフe+のバッテリーに蓄えられた電気だけで約4日間、家中の家電の電力をまかなえるということです。
たとえ電気の供給が止まっていたとしても普段と変わらずに電力を使って生活できるため、安心して暮らすことが可能です。
■CO2削減に貢献できる
電気自動車はCO2排出量が少ない、環境にやさしい自動車です。さらに再生可能エネルギーを活用する太陽光発電を採用することで、電力会社から購入する電気の量を大きく減らすことができます。
太陽光発電とV2Hを併用することで、石油や原子力などに頼った電気を使用することは少なくなり、世界的な課題となっているCO2削減に貢献できます。
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